その風景は、誰のもの⁉︎

悼む、週末。

 雲仙天草国立公園の保護区域でもある、天草諸島の西の端。海とひとつづきの天草椿の森で草刈りをつづけていた「さだおさん」が旅立ったと聞き、ゆうべお別れに出かけました。葬儀をできるご家族がいなかったさだおさんのため、集落の皆さんが協力して執り行われたお通夜。お寺のお堂にしつらえられた祭壇には、昨年、みんなで出かけた桜島での写真が飾られていました。

右から二番目が鶴山さだおさん。

クラブのメンバーのなかでも、森の管理を集中的に行っておられる主要メンバーのおひとりで。東シナ海を望む斜面には、草刈機や鎌をふるう姿がいつもありました。春も、夏も、秋も、冬も。


2021年12月のモニターツアーでは、数日前から仲間たちと磯に出かけてサプライズを用意してくれました。前日はテントを組み立てるのを手伝ってくれ。当日の早朝、準備に出かけると、さだおさんはすでにそこにいて、ゲストの皆さんに食べてもらいたいからと、焼き芋を焼いてくれ。間に合っていなかった家具の組み立てを一緒に手伝ってくれました。海を眺めながら、みんなで食べたランチは、さだおさんが仲間と一緒に場を整えてくれたからこそできたものです。




2022年の春には、水俣の石飛高原や曽木の滝に行って、ともにお茶を味わい、いろんな絶景を眺め。どんな森のじかんがつくれるか、森の未来がつくれるかを一緒に味わってくれました。




2022.6月の桜島では、こんな風に伝えていけたらいいなというのを一緒に感じてくれました。フェリーで身を乗り出すようにして、桜島を眺めていたさだおさんの姿が今も、脳裏に浮かびます。天文館を一緒に歩いたこと、一緒に食べたとんかつの味、忘れません。



さだおさんは、いつも多くは語らない人で。「うんうん、そうだな」というくらいだったけど。ゆっくりの歩みしかできない私の取り組みも、一緒に味わったり喜んだり、その気持ちがとてもありがたかったのです。その背中は、人の心を震わせたりいろんな形で経済循環を生み出したりもする「各地の絶景」が、こうした方々の日々の営みで支えられているものでもあるということを考えるきっかけをくれました。支え合って暮らす西平集落の皆さんとの関係性をまのあたりにし、「集落の中で、生きて、死ぬ」という、人として、ひとつのいのちとしての在り方を、学ばせていただきました。



2022.夏頃から難病を患い、以来、会うことは叶いませんでしたが。森を、海を、大切に過ごしておられたその姿と、感謝の気持ちをしっかりと心に刻み。次の世代の方々へバトンをつなぐお手伝いをさせていただけたらと思っています。

さだおさん、本当にありがとうございました。どうぞ安らかに。。。

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