その1はこちら→◎
高浜には見かけただけでも4ヶ所の無人市場があり、それぞれに
集落の人が手がけた季節野菜が並んでいます。商店こそ減っては
いますが、集落の信頼関係と支えあいの気持ちで成り立つ無人販
売がいくつもあるということこそ、このまちの価値のひとつ。フ
ットパスや仕事帰りにお野菜を買って食卓に並べ、このまちの平
穏な毎日を思い浮かべながら話を弾ませる。そんな豊かな時間も
このまちなら叶います。(高浜のまち歩きには小銭とリュックま
たはエコバッグをお忘れなく!)
あちらこちらに宿る、まちの営み・歴史、そして人の気配。その
ひとつひとつに触れるたびに、愛着が増してゆくのです。
天草市には、「オープンガーデン」という市をあげた取り組みが
あり、上島〜下島のあちこちに素敵な庭を見せてくださる家があ
ります。この高浜集落にも登録されている家があるのは知ってい
たのですが…実はこの日の参加者のおひとり、本多さんのお宅!
「是非とも歩かせていただけませんか?」そうお願いしご自宅へ。
「うちはね紫陽花の時期が一番いいのよ。今はそんなにお花もな
くてね」とおっしゃっていたのですが、お邪魔してみると、いや
いやいやいや!今も十分すぎるほど美しい!同行していたグルー
プ全員が、思わず感嘆の声をあげました。
民家と民家の間に自家菜園が点在し、半自給持続のくらしぶりが
うかがえる地域もあります。石橋のかかる川からは、水のせせら
ぐ音が聞こえてきて、心地のいい風景がいっぱい!
うわー。きれい!なんて見事な畑!と感動して見ていたら、ご近所
の方が声をかけてくれました。「本当に素敵なところですね。それ
にしても、この畑すごい!」「食べる分だけ作らせてもらってるの」
などとしばし立ち話。「あれ、梅ですか?」「そうそう梅の花の頃
もきれいよ」「見てみたい!」なとど話しながら、フットパスの話
に。フットパスという言葉こそご存知なかったのですが、また梅の
花の咲く頃に歩かせていただきたいですとお願いをしたら「どうぞ」
と言っていただけました。
そうこうしている間に気づけば、集合時間が迫っていました。慌て
て上田家住宅へ向かうとすでに全グループが帰還済み。楽しみすぎ
てすみません(苦笑)。
上田家住宅のお庭を借りて、その場で気づいたことの共有会。
「軒先ぶどうを眺めながら川沿いを歩きました」「2本の大き
な杉があって、その間を通って登っていくのが面白かった」
「高台から西側に海を望める場所があって、夕陽の時間にく
ると絶対美しいだろうなって話していました」などなど。
歴史に詳しいひと、集落の営みに詳しいひと、陶磁器に詳し
いひと、神社仏閣をよく知るひと、宝探し名人な子どもたちと
日頃から接しているひと、庭木のプロ、まち歩きのプロ、観
光客と普段から接する機会の多いひと。参加者の顔ぶれがバ
ラエティに富んでいたこともあり、5つのグループがすべて
違う道を歩き、参加者それぞれが違ったところに感動してい
たのもとても興味深い点でした。「うわー!そこ歩いてみた
かった!」と何度思ったことか。聞けば聞くほど、まだ知ら
ない魅力がたくさんで、高浜だけでもいくつものフットパス
ルートが作れる気がして、ワクワクが止まりません。
「普段歩くのは苦手だけど、こんな歩き方ならいいなと思った」。
天草のちゃんぽん名人でもある永田さんが言ってくれたその一言
が、何よりもうれしい言葉でした。
高浜地域のフットパスの実現へ向け、“歩いて楽しい道探し”のラン
ブリングをこれからも重ねていこうと思います。