天草西海岸フットパスへの道  〜助走〜 ②の2

その1はこちら→

高浜には見かけただけでも4ヶ所の無人市場があり、それぞれに
集落の人が手がけた季節野菜が並んでいます。商店こそ減っては
いますが、集落の信頼関係と支えあいの気持ちで成り立つ無人販
売がいくつもあるということこそ、このまちの価値のひとつ。フ
ットパスや仕事帰りにお野菜を買って食卓に並べ、このまちの平
穏な毎日を思い浮かべながら話を弾ませる。そんな豊かな時間も
このまちなら叶います。(高浜のまち歩きには小銭とリュックま
たはエコバッグをお忘れなく!)

あちらこちらに宿る、まちの営み・歴史、そして人の気配。その
ひとつひとつに触れるたびに、愛着が増してゆくのです。

岩には見事な苔が根を張り、とりどりの花木の間にはカエルの置物。雨が似合う庭ですが、その奥へとつづく小径にも興味が。歩かせていただけないか相談してみようと思う場所のひとつ
駐車場の壁面に目をやると、コンクリートの割れ目からレンガがのぞいていたり…ここって一体!?と想像が膨らみます

天草市には、「オープンガーデン」という市をあげた取り組みが
あり、上島〜下島のあちこちに素敵な庭を見せてくださる家があ
ります。この高浜集落にも登録されている家があるのは知ってい
たのですが…実はこの日の参加者のおひとり、本多さんのお宅!
「是非とも歩かせていただけませんか?」そうお願いしご自宅へ。

「うちはね紫陽花の時期が一番いいのよ。今はそんなにお花もな
くてね」とおっしゃっていたのですが、お邪魔してみると、いや
いやいやいや!今も十分すぎるほど美しい!同行していたグルー
プ全員が、思わず感嘆の声をあげました。

おじいさまが手彫りなさったというお地蔵さま。すーっと鼻筋が通っていて、とってもハンサムです。

民家と民家の間に自家菜園が点在し、半自給持続のくらしぶりが
うかがえる地域もあります。石橋のかかる川からは、水のせせら
ぐ音が聞こえてきて、心地のいい風景がいっぱい!


うわー。きれい!なんて見事な畑!と感動して見ていたら、ご近所
の方が声をかけてくれました。「本当に素敵なところですね。それ
にしても、この畑すごい!」「食べる分だけ作らせてもらってるの」
などとしばし立ち話。「あれ、梅ですか?」「そうそう梅の花の頃
もきれいよ」「見てみたい!」なとど話しながら、フットパスの話
に。フットパスという言葉こそご存知なかったのですが、また梅の
花の咲く頃に歩かせていただきたいですとお願いをしたら「どうぞ」
と言っていただけました。

そうこうしている間に気づけば、集合時間が迫っていました。慌て
て上田家住宅へ向かうとすでに全グループが帰還済み。楽しみすぎ
てすみません(苦笑)。

集合場所にしていた上田家住宅は、高浜焼寿芳窯の隣にあります
上田家住宅は建物もお庭もすばらしいので、あちこちで撮影を楽しむ姿も見られました
最初から最後まで頑張って歩き、上田家住宅の庭での撮影会の被写体にもなってくれたサクラは、帰り道、おんぶで移動(笑)
市役所職員の前さんは、紅葉のまっただなかの上田家住宅に来たのは初めてということで、写真撮影に夢中。紅葉もすっかり散り際でしたが、雨に濡れ、一層色濃く美しくなっていました。

上田家住宅のお庭を借りて、その場で気づいたことの共有会。
「軒先ぶどうを眺めながら川沿いを歩きました」「2本の大き
な杉があって、その間を通って登っていくのが面白かった」
「高台から西側に海を望める場所があって、夕陽の時間にく
ると絶対美しいだろうなって話していました」などなど。

 



歴史に詳しいひと、集落の営みに詳しいひと、陶磁器に詳し
いひと、神社仏閣をよく知るひと、宝探し名人な子どもたちと
日頃から接しているひと、庭木のプロ、まち歩きのプロ、観
光客と普段から接する機会の多いひと。参加者の顔ぶれがバ
ラエティに富んでいたこともあり、5つのグループがすべて
違う道を歩き、参加者それぞれが違ったところに感動してい
たのもとても興味深い点でした。「うわー!そこ歩いてみた
かった!」と何度思ったことか。聞けば聞くほど、まだ知ら
ない魅力がたくさんで、高浜だけでもいくつものフットパス
ルートが作れる気がして、ワクワクが止まりません。

「普段歩くのは苦手だけど、こんな歩き方ならいいなと思った」。
天草のちゃんぽん名人でもある永田さんが言ってくれたその一言
が、何よりもうれしい言葉でした。

高浜地域のフットパスの実現へ向け、“歩いて楽しい道探し”のラン
ブリングをこれからも重ねていこうと思います。

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