常温で持ち帰れる天草らしいお土産ものがもっとたくさんあったらいいのに! 誰かを案内するたびにそんな風に思っていた矢先。Ama-biZ(天草市起業創業・中小企業支援センター)を通じ、天草大王鶏ガラスープの「天草ちゃんぽん」を手がける「アツカコミュニケーションズ」の中西さんから相談をいただきました。「ちゃんぽんの次回作として、ラーメンを出す」という内容のものです。
天草大王鶏ガラスープ入り「天草ちゃんぽん」はこちらhttps://shop.reishuya.jp/
そもそもちゃんぽんは、天草や長崎ではかなりメジャーな食べ物。中華料理店に限らず、天草のちいさな食事処ではレギュラーメニューで並ぶことの多い料理のひとつで、野母崎半島と島原半島と天草諸島のトライアングルで船と車を使った旅をすれば、九州のちゃんぽんを日帰りでハシゴするなんてことも叶うほどです。天草ではスーパーや直売店で「ちゃんぽん麺」自体が販売されていることもあり、冷蔵庫の中にある材料をちゃちゃっと炒めてスープとともに麺を軽く煮込んで食卓へ、ということもしばしば。けれど、他所で話を聞くとそう身近な食べ物でもないらしく。しかも主婦の立場で言わせていただくと、麺類=手間なし料理のイメージなのに、ちゃんぽんとなった途端に「具材がたくさんいりそう」「刻む手間と炒める手間と、煮込む手間って面倒だし、時短に程遠いんじゃないかしら?」と、調理にかかるまでに二の足を踏んでしまいそうな先入観もあります(実際に作ってみると冷蔵庫の残りもので手軽にできて、お財布への負担も軽いわりに、食べ応えや栄養バランスの満足度が高いという、食卓の味方でもあるのですが)。
そんなわけで今回は、麺のなかでも最もメジャーな「ラーメン」で新商品をつくりたいというご相談。「天草大王由来」で「気軽に手にとっていただきやすく」「食卓にのぼりやすい」「お土産物にもなる商品にしたい」というご意向でした。
決め手は、天草大王と天草の塩
そば名人とちゃんぽん名人のタッグ
スープの決め手となるのは、農事組合法人 天草大王生産販売組合が手がける「天草大王エキス」。麺のコシと旨味をつかさどる塩には九電産業株式会社の苓北そると工場で、徹底的な衛生・品質管理のもとにつくられる「天草の塩」を用いています。
◉天草大王生産販売組合
http://www.amakusadaioh.jp/raising.html
◉天草の塩
https://www.reihoku-s.co.jp/solt_of_amakusa/
「天草ちゃんぽん」土産物の監修者で、天草のちゃんぽん名人こと永田文明さんにも協力いただき、麺のコシや形状・スープの配合を変えながら何度も試食を繰り返しました。第1弾として完成したのが、「天草大王ラーメン コクうま鶏とんこつ味」。天草大王のあまみとうまみにトンコツのコクが加わったスープに、食べる直前に別添えの黒マー油をまぜるのがポイント。ストレート麺にもスープがからみ、食べ応えのあるラーメンになりました。
油絵で復刻した天草大王。
パッケージにはあの画家の油絵を!
そもそも「天草大王」とは、明治中期に中国から輸入されたランシャン種をもとに天草で改良し、育てられた大型の肉用鶏。大正期には天草島内各所で飼育され、「博多水炊き」の人気を支えました。大ぶりで肉質のいい高級地鶏として食通にも愛されましたが、昭和初期に絶滅し、“幻の地鶏”と呼ばれていました。その良質な肉鶏を復刻させようと、天草大王復元プロジェクトがスタートしたのは1992年のこと。のこされたわずかな文献と、絶滅前に描かれたたった一枚の油絵を手がかりに、交配と世代の選抜淘汰を繰り返すこと約10年。絶滅から70年の歳月を経て復刻したのが、現在の「天草大王」です。今や、九州を代表するブランド地鶏ともなった天草大王。これを使うなら“商品の顔”はやはり、天草大王でいきたいと考えました。
今回デザイン監修をお願いしたのは、九州はもとより国内外の地域・つくりてとタッグを組み、有形無形のさまざまな商品やプロジェクトを手がけるクリエイティブディレクターの佐藤かつあきさん(かつあきデザイン)。
◉佐藤かつあきさん
https://qualities.jp/article/satohkatsuaki
https://www.instagram.com/satokatsuaki/?hl=ja
激戦の袋ラーメン市場でも「思わず手に取りたくなるようなデザイン」という点をおもしろがっていただき、力を貸してくださることになりました。
天草大王復元の鍵を握ったのは、油絵。
ん、油絵・・・⁉︎
あああっ!!!
ということで佐藤さんを通じて相談し、力を貸していただいたのが、熊本在住の油絵画家 松永健志さんです。いわゆる「油絵」の概念をくつがえし、生活感や愛着すらも感じる松永さんの独特の作風はいま、国内外でしずかに人気を集めています。
◉松永健志さん
https://www.instagram.com/matsunagatakeshi85/
https://colocal.jp/topics/lifestyle/people/20200327_132981.html
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そんな松永さんがこの商品のために描き下ろしてくださった天草大王の油絵は、雄々しさとともに、羽の艶やかさとしなやかな肉質さえも感じさせる作品でした。この松永さんの油絵の迫力を最大限にいかしつつ、必要な情報を盛り込んでデザインしてくれたのが佐藤さんです。背景の色味やあしらい、文字のデザインにも細かい気を配っていただき、お二人の最強タッグで生まれたパッケージがついに完成しました。
パッケージの中には麺とスープ、黒マー油が入っています。その袋詰めを担当してくださったのが「就労サポートセンターぴ〜す」です。
↓
就労サポートセンターぴ~す
思わず手に取りたくなる。誰かにお渡ししたくなる。
そんな商品になっているのではないでしょうか。
関わってくださったたくさんの方々の思いがありがたく
完成した商品があまりにも愛おしくて、額に入れたらこうなりました。
我ながら額装のセンスが残念です(苦笑)
話を戻します。こちらの「天草大王ラーメン」は4月1日から、「道の駅かかしの里」を皮切りに販売がスタートしました。今月末には関東方面にもお目見え予定!?天草の土産の新定番として是非、ご賞味ください。