先日、大矢野町で見つけた干物の風景があまりにも楽しくて、思わず動画を撮りました。ただ干しているだけよりも、風をあてて回したほうが早く乾燥するのだそうですが、なんだかメリーゴーランドみたいですね。
ところで、干物といえば古くからつくられている日本の伝統食のひとつ。天草の港町でも天気のいい日にはあちこちで、干物をつくる風景が見られます。少しふっくらと仕上げた生干しは3日ほど。しっかり乾燥させたタイプのものは1週間以上日持ちするので(冷凍すればもっと持ちがよくなります)、わが家でも魚がたくさん手に入ったときには、まとめて干物をつくります。
天草で主流なのが、塩干しとみりん干しです。
うまみと日持ち。先人の知恵に感服する塩干し
塩干しは、開いた魚に直接塩をふったり、塩水に漬け込んで、乾燥させるものです。塩の浸透圧で魚の水分が早く抜けるために乾燥も早く、塩をもちいることで腐敗菌の繁殖を抑えることもできるため、(天日乾燥だけのときよりも)保存期間をさらに延ばすことができます。また塩には、魚に含まれるタンパク質をアミノ酸に分解するはたらきも。アミノ酸といえば、うまみの素になる成分のひとつですから、なるほどおいしくなるわけです!ちなみに、ソルトコーディネーターでもある私のお気に入りは、海水と同じ約3.5%の塩分濃度の塩水に漬け込んでつくる塩干し。塩を直接ふるよりもムラなく味がしみこみ、漬け込む時間の長さによって、塩梅を調整できるので失敗しにくい気がしています。
﨑津集落に名人あり!照りと甘みが決め手のみりん干し
みりん干しは、酒や醤油、みりんなどを混ぜてつくった特製の調味液に、開いた魚を漬け込んで、乾燥させるもの。実は、世界遺産に登録された﨑津集落にもみりん干しの名人がたくさんいます。「みりんの代わりに砂糖を使ったほうが照りとコクが出る」という人や「仕上げにゴマをふるのがおいしかとよ」という人などもいて、聞けば聞くほど、それぞれにおいしさを追求しているのがわかります。
各港の各家庭でつくられる干物に共通しているのは、旬の魚を使った、旬の干物であること。季節や漁法、漁場によって獲れる魚が違うので、アジや太刀魚、エソに鯛、水イカやキビナゴ、フグ、タコにサバなど、いろいろな魚の干物が味わえるのも天草の魅力です。
旅先からのクール便や、お取り寄せ対応をしているところも多いので、持ち帰りもご心配なく!
天草の海の恵みを是非、味わってみてください。
天草漁協﨑津直売所 きんつ市場
天草市河浦町﨑津(﨑津漁協﨑津支所向かい側)
TEL.0969-79-0333
営 10:00〜16:00
休 水曜(お盆、年末年始ほか、荒天時は休み)