「ちょっとオリーブの収穫に」。そんなステキなフレーズが天草で
言えるようになるなんて。子どもの頃は想像もできませんでした。
(というか、オリーブの実やオイルの存在すら知りませんでした)。
この日お邪魔したのは五和町二江地区にある「こびらオリーブ園」
吉岡英二さんが営む農園です。
![](https://shimanotane.jp/wp-content/uploads/2018/11/OLIVE2-800x520.jpg)
2年前に取材でお邪魔したときには、オリーブの木々の下で特製のオリ
ーブリーフブレンドティーをいただいたのですが。正直なところ、当時
の私には、「天草でオリーブの実が豊作になる」ということがこんなに
早く実現できることだとは思えませんでした(吉岡さんごめんなさい)。
当時の記事はこちら→◎
![](https://shimanotane.jp/wp-content/uploads/2018/11/OLIVE1-800x520.jpg)
生まれて初めてのオリーブ収穫。脚立に登り、オリーブの木の一番
高い位置にたどり着いたときの感動ったら。「サワサワ、サワサワ」
全身がなんとも言えない心地いい音に包まれるのです。快感!!!
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ところで。
そもそも、天草でオリーブって?とお思いの方も多いかもしれませ
んね。海のイメージが強い天草ですが、日当たりのいい島の斜面で
は果樹栽培も盛ん。そうした特徴を生かし、すでに昭和40年代には
オリーブの試験栽培が行われました。しかし、その後の柑橘ブーム
などもあり、当時のオリーブが広がることはなかったそうです。
それから約半世紀の時を経て、「オリーブの島づくり」という旗印
のもと島でオリーブが栽培されるようになったのは、8年前のこと。
今では島のあちこちに、大小のオリーブ園が点在しています。
![](https://shimanotane.jp/wp-content/uploads/2018/11/46197253_256615001685338_8744345263360966656_n-800x520.jpg)
3年前にお邪魔したのは、河浦町の「AMAKUSANTA」のオリーブ園。
清らかな湧水が湧き出す山の山頂近くに広がる畑には、なんと、黒い
牛も放牧されていました。のどかな風景に心が震えます。
![](https://shimanotane.jp/wp-content/uploads/2018/11/46286089_468465590342136_2468530911482740736_n-800x520.jpg)
今年は、苓北町の「ミナクルファーム」でも若木が実をつけ、初めて
のオリーブ新漬けとオリーブオイルが誕生しました。天草空港の近く
にある「天草オリーブ園AVILO」ではテイスティングや手搾りなどの
体験も可能です。
![](https://shimanotane.jp/wp-content/uploads/2018/11/44775291_490839348102653_1151343185729945600_n.jpg)
こう書くと、とても順風満帆のようにも見えますよね。でもやはり土
地の風土のなかで新たな作物を育てるのって大変。海外の樹齢1000年
を超えるオリーブなどは多少の自然災害にもビクともしない風格を放
っていますが、植えたばかりのオリーブの木はまだ根や幹、枝も繊細
です。天草では、ここ数年で台風や大雪が相次いだこともあり、まだ
まだそれに耐えきれないオリーブの木々が倒れたり、枝折れ被害を受
けたオリーブ園もたくさんあったと聞いています。
さらに昨年はカメムシの大量発生などもあり、天草のオリーブ農家さ
んにとっては、決して順調とはいいがたい状況がつづいていたのです。
たくさんの台風が発生した今年。多くの農家さん同様に天草のオリー
ブ農家さんも肝を冷やしたようですが、幸い直撃が免れたことと、受
粉の時期に好天がつづいたこともあり、天草各所のオリーブ園が豊作
を迎えることができました。
いつになったら採算がとれるのか!?いくつもの農家さんの苦悩をう
かがい知るだけに、たくさんの実をつけたオリーブ園の光景は、まば
ゆいばかり。「ようやくここまで来た」。それは、天草のオリーブ農
家さんにとって8年越しの夢の光景でした。
![](https://shimanotane.jp/wp-content/uploads/2018/11/43664733_318969452222507_617158268967452672_n-800x520.jpg)
ところで、オリーブの収穫方法は大きく分けて2通りあります。機械摘
みと、手摘みの方法です。木の下にネットを広げてふるい落とす方法な
どもあるそうですが天草の多くのオリーブ園では、「ミルキング」と呼
ばれる方法を用いるところが多いよう。
![](https://shimanotane.jp/wp-content/uploads/2018/11/42392857_567694657005786_878335217352310784_n-800x520.jpg)
手摘みの中でも最も手間と時間のかかる方法ですが、その分、実に傷
がつきにくく、酸化や発酵が進みにくいために、高品質なオイルが搾
油できるのだそうです。
![](https://shimanotane.jp/wp-content/uploads/2018/11/44806557_1036053263234237_3283649110795616256_n-800x520.jpg)
この日は同園の最後の収穫日。午後には雨予報だったこともあり、朝
から黙々と作業を続けるも収量は2人で30㎏に満たない量でした。猫の
手にもならず、申し訳ない(汗)。脚立を昇ったり降りたりしながら、
収穫するって想像以上に手間のかかることなのですね。
この日収穫したオリーブは翌朝、五和町の共同搾油場で無事、オリーブ
オイルになりました。まだまだ海外や小豆島ほどの量ではありませんが、
今年は天草各地のオリーブ農園が豊年満作!各農園ではオイルやオリー
ブの実の加工品なども作られています。島のみんなが祈るような気持ち
で育てたオリーブ。この実りのよろこびを、島内外の多くの方へお届け
したいと心から思います。
収穫の畑の様子はこちらもどうぞ→KABくまもと5ツ星