「漁師をあきらめたくない」。
その気持ちが、海の家の原動力でした。
「コロナだから仕方ない、魚を食べなくなったから仕方ない。みんなそういうけど、俺らはまだ諦めたくないんです。まだ動ける、まだまだできることはある。だから今、挑戦しようと決めました」
温暖化や藻場の減少などさまざまな要因で、獲れる魚種や漁獲量の変化が著しい近年。船を動かすための燃料代は高騰し、経費もかかる一方です。さらに核家族が増え、ライフスタイルの変化もあって、魚が食卓にのぼりにくくなっていることもあり、市場価格は低迷を続けていました。そこに追い討ちをかけたのがコロナ禍です。感染予防対策として、休業や営業自粛を余儀なくされた飲食店さんの苦悩もたくさん聞こえてきますが、その裏側には、飲食店で提供いただく食材の生産者やアルコール、そのほかたくさんの関連業種の人たちが、ともに苦悩を重ねています。魚市場や卸問屋、そして漁業者もまた、その波にのまれています。魚価はますます低迷し、売り先を失ったことで漁業の継続が難しくなっているところもあるようです。
こちらの漁師さんが携わる定置網漁は、季節の回遊魚の習性を生かした追い回さない漁業。燃料の無駄遣いや二酸化炭素排出量も抑える沿岸域の操業で、網の目の大きさを変えることで、小さな魚を獲りすぎない工夫をするなど水産資源の保護にもつとめています。
「毎日暗いうちから海に出てとった定置網漁の魚を、無理なく無駄なくおいしく味わっていただきたい。自分たちが自信を持って獲った魚で、訪れる人をもてなしたい。地域の元気をつなぎたい」。
そんな思いでつくるとれたて鮮魚の海鮮丼は、どんな一皿になるでしょう。私も今から楽しみでなりません。漁場のすぐそばで味わう風情も格別ですが、同時に地域に元気をもたらしたり、フードマイレージの削減にもつながったりするのなら、なんだかいいと思いませんか?
*7月11日、白鶴浜海水浴場そばにオープンする「heat up! /新栄丸」(山田酒店の海の家のところ)は、朝どれ魚介の海鮮丼(イートインオンリー)や、漁師のチカラ飯的なガーリックライスに焼きそば・かき氷(テイクアウトOK)などもある、現役漁師の海の家。オープンまであと2日です!