「歩く旅」が今、静かなブームを呼んでいます。季節の風景や、
農村や漁村の日常、歴史や文化など、その地の風土を楽しみなが
ら歩くイギリス発祥の「フットパス」や、各地に点在する「自然
遊歩道」のほか、韓国発祥の歩くアクティビティ「オルレ」など
に代表される「歩く旅」。健康維持や体力増強を目的としたウォ
ーキングやトレッキングとも、車や列車の旅ともひと味違った
“急がない旅”には、思いがけない出会いや発見がいっぱいです。
すでに熊本県内にはそうした「歩くためのみち」がたくさんあり、
「歩くことを楽しむ人」も増えてきているそう。そんな背景もあ
って2019年より、熊本県内全域で「歩き」を活かした地域活性化
プロジェクトとして「Walkers are Welcome くまもと」が発足す
ることになりました。
ところで、Walkers are Welcomeとは、“歩く人を歓迎する”という
意味を持つ言葉。英国の「Walkers are Welcome Town」が語源です。
Walkers are Welcomeくまもと、略して「WaW くまもと構想」は、
イギリスのWaW をモデルに県内各地のひとや機関が連携し、県を
あげて「歩く人を歓迎するまち」と「歩く文化の創造」に取り組もう
というもの。「WaWくまもと構想」のリーフレットのなかでも個人
的に留めておきたい!と思ったのがこちらの一文でした。
ーWaWに賛同した地域同士が連携し、美しい景観や文化を持ちな
がらも衰退した地方に、歩く人が訪れ、滞在することで、地域の
活性化を促していこうという運動ー (引用終わり)
2018年11月10日、熊本県下益城郡美里町で行われた「WaWくまもと
国際シンポジウム」では、イギリスのWaW UK Networkの会長をは
じめ、英国と日本各地で活動を続ける皆さんによって、国内外のさ
まざまな取り組みが語られ、「歩く」が地域や訪れる人にもたらす
効果や意味を再認識しました。
このシンポジウムを機に、「天草下島、西海岸側でも歩く楽しみ
や旅の視点を広げていきたい!」という思いがますます募ったの
ですが、思ってるだけじゃ始まらない。ということで、ちいさな
一歩として先週、開催したのが「みちの探検隊」です。急な呼び
かけにもかかわらず、午前中の今富フットパス体験会の流れも含
めて、町内外の15人ほどにご参加いただき、天草町大江の海辺の
町を歩かせていただきました。
実は、牛深では「南天草フットパス」が先行してスタートしており、
お隣の今富集落でも、学生さんを中心としたフットパスコースの
造成が数年前から行われています。一方、大江についてはまだ、
フットパスの「フ」の字もないエリア。
大江教会に象徴されるキリスト教文化ももちろんですが、ほかにも
歴史や文化、営みといったステキな宝があるだけに、この風土を味
わっていただかないのはもったいない!のです。
地域の方々のご協力をいただきながら、普段、一見さんではなか
なか通りがたいような畦道や里道なども歩かせていただきました。
当初のルートを大幅に変更し、みちを探して歩くこと約2時間。
結論から言うと、後半はやや間延びした感じもあったのですが、
それでも足を伸ばした分、見えてきたこともありました。地域の
中の人だけでなく、外の人にも一緒に歩いていただけたことで、
「あ、今、退屈しているかも」「ここは面白いのかな」「いずれ
何らかの形で説明するならこんなのがあったらいいのかな」など
思いを巡らすこともでき、一緒に歩いてくださった方にも、歩か
せていただいた地域の皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。
「フットパスコースの造成にはとにかく時間をかけること!」
それが魅力にあふれる「みち」づくりの鉄則だと、ことあるごとに
ご教示いただいてもおりまして。次もまた、円を小さくしたり、ス
タートゴールを変えたり、エリアを変えたりと試行錯誤を重ねつつ
「訪れる人も、迎える人もちいさなHappyを感じられるみちづくり」
に取り組んでいこうと思います。
そうそう、うれしいことがもうひとつ。今富フットパスの流れで
高浜の女性たちも一緒に歩いてくれたのですが。「こんな感じなら
高浜でもできるかもね」「この人の庭、とにかくキレイなのよ」
「今度見においで」といっていただけたのがとにかくうれしくて!
軒先ぶどうの景観復活に取り組む高浜ぶどうの派生も含め、高浜
のフットパスルートの醸成にもちいさな光が見えてきた気がします。
準備不足で十分な楽しみを提供しきれなかったなか、一緒に歩いて
くださった皆様、通りで声をかけてくださった地域の皆様、本当に
ありがとうございました。これからもどうぞ宜しくお願いします。