土や水や風や光など、その土地のポテンシャルを生かしながら、野菜や果物を育んでくれる農家さん。「慣行農法」「有機農法」「自然農法」「自然農」「自然栽培」など、農薬や肥料や土や菌のいかしかたにもさまざまあって、近年はそうした「育みかたの違い」が、市場やお店で言葉や価格として伝えられ、知って選べるようにもなってきました。
お肉も然り。
そしてそれと同じように、海や川にも、その海や川のポテンシャルを生かしながら、魚介や海藻などを育んでくれる漁師さんがいます。○○ブリとか、○○鯛とか、○○サバのように育った場所や食べたものでブランド化されているものも一部にはあるけれど、「天然魚」と「養殖魚」のような大きなくくりが一般的。海には、流れや温度や水質の変化といった、人の手でコントロールし難い外的要因もたくさんあって。そういったものと折り合いをつけながら、健康状態や育ち具合を見て食べるものを考え、環境負荷にも気を配りながら、魚介や海藻を育むのが、養殖漁業の漁師さんです。天草諸島には、日本の食の未来を考え、食べる人のあしたを思い、情熱をもっていのちに向き合う漁師さんたちの言葉や姿がたくさんあります。そうした思いにふれるたび、「獲る漁業」と「育てる漁業」の違いだけじゃなく、栽培の考え方や育む人の思いや研鑽を知ったうえで、選んで、食べられる。そういう流れが、野菜や果物と同じくらいに一般的になっていけばいいのになと感じるこの頃です。
写真は、熊本と鹿児島の島々を一望する不知火海の、鯛とシマアジの畑の風景です。「使いやすさ」や「食べやすさ」にも気を配り、フィレの形で全国へ送られますが。フィレの状態や、刺身やお寿司や料理になったとき、この海と人の営みを感じてくれる人がどれだけいるだろうなんてことも考えました。わたしたちのおいしい食卓は、海や森、川や畑の毎日によって支えられているのだということを、感じとって感謝する人。伝える人。育む人に、私もなりたいし、子どもたちにも伝えたいです。もっともっと研鑽しよう。