天草オリーブの豊年満作!

「ちょっとオリーブの収穫に」。そんなステキなフレーズが天草で
言えるようになるなんて。子どもの頃は想像もできませんでした。
(というか、オリーブの実やオイルの存在すら知りませんでした)。
この日お邪魔したのは五和町二江地区にある「こびらオリーブ園」
吉岡英二さんが営む農園です。

「こびらオリーブ園」の吉岡英二さん

2年前に取材でお邪魔したときには、オリーブの木々の下で特製のオリ
ーブリーフブレンドティーをいただいたのですが。正直なところ、当時
の私には、「天草でオリーブの実が豊作になる」ということがこんなに
早く実現できることだとは思えませんでした(吉岡さんごめんなさい)。

当時の記事はこちら→

こんなにも大きく、実りの多いオリーブ園を見ることができるなんて!

生まれて初めてのオリーブ収穫。脚立に登り、オリーブの木の一番
高い位置にたどり着いたときの感動ったら。「サワサワ、サワサワ」
全身がなんとも言えない心地いい音に包まれるのです。快感!!!

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ところで。

そもそも、天草でオリーブって?とお思いの方も多いかもしれませ
んね。海のイメージが強い天草ですが、日当たりのいい島の斜面で
は果樹栽培も盛ん。そうした特徴を生かし、すでに昭和40年代には
オリーブの試験栽培が行われました。しかし、その後の柑橘ブーム
などもあり、当時のオリーブが広がることはなかったそうです。

 

それから約半世紀の時を経て、「オリーブの島づくり」という旗印
のもと島でオリーブが栽培されるようになったのは、8年前のこと。
今では島のあちこちに、大小のオリーブ園が点在しています。

以前お邪魔した「AMAKUSANTA」(河浦町)のオリーブ園。この写真からもう3年経っているので今頃はかなり大きくなっているはず

3年前にお邪魔したのは、河浦町の「AMAKUSANTA」のオリーブ園。
清らかな湧水が湧き出す山の山頂近くに広がる畑には、なんと、黒い
牛も放牧されていました。のどかな風景に心が震えます。

山の斜面に広がるオリーブ園の傍らでは、なんとご近所さんの牛も放牧されていました(草をあげているのはAMAKUSANTAの北野雄己さん)

今年は、苓北町の「ミナクルファーム」でも若木が実をつけ、初めて
のオリーブ新漬けとオリーブオイルが誕生しました。天草空港の近く
にある「天草オリーブ園AVILO」ではテイスティングや手搾りなどの
体験も可能です。

 

「植えたときは、このくらいの大きさでした」

こう書くと、とても順風満帆のようにも見えますよね。でもやはり土
地の風土のなかで新たな作物を育てるのって大変。海外の樹齢1000年
を超えるオリーブなどは多少の自然災害にもビクともしない風格を放
っていますが、植えたばかりのオリーブの木はまだ根や幹、枝も繊細
です。天草では、ここ数年で台風や大雪が相次いだこともあり、まだ
まだそれに耐えきれないオリーブの木々が倒れたり、枝折れ被害を受
けたオリーブ園もたくさんあったと聞いています。

さらに昨年はカメムシの大量発生などもあり、天草のオリーブ農家さ
んにとっては、決して順調とはいいがたい状況がつづいていたのです。

 

たくさんの台風が発生した今年。多くの農家さん同様に天草のオリー
ブ農家さんも肝を冷やしたようですが、幸い直撃が免れたことと、受
粉の時期に好天がつづいたこともあり、天草各所のオリーブ園が豊作
を迎えることができました。

いつになったら採算がとれるのか!?いくつもの農家さんの苦悩をう
かがい知るだけに、たくさんの実をつけたオリーブ園の光景は、まば
ゆいばかり。「ようやくここまで来た」。それは、天草のオリーブ農
家さんにとって8年越しの夢の光景でした。

熟れたオリーブの実もいっぱい

ところで、オリーブの収穫方法は大きく分けて2通りあります。機械摘
みと、手摘みの方法です。木の下にネットを広げてふるい落とす方法な
どもあるそうですが天草の多くのオリーブ園では、「ミルキング」と呼
ばれる方法を用いるところが多いよう。

枝をしごくようにして一粒ずつ手摘みしていきます

手摘みの中でも最も手間と時間のかかる方法ですが、その分、実に傷
がつきにくく、酸化や発酵が進みにくいために、高品質なオイルが搾
油できるのだそうです。

実の状態を確かめる吉岡さん

この日は同園の最後の収穫日。午後には雨予報だったこともあり、朝
から黙々と作業を続けるも収量は2人で30㎏に満たない量でした。猫の
手にもならず、申し訳ない(汗)。脚立を昇ったり降りたりしながら、
収穫するって想像以上に手間のかかることなのですね。

 

この日収穫したオリーブは翌朝、五和町の共同搾油場で無事、オリーブ
オイルになりました。まだまだ海外や小豆島ほどの量ではありませんが、
今年は天草各地のオリーブ農園が豊年満作!各農園ではオイルやオリー
ブの実の加工品なども作られています。島のみんなが祈るような気持ち
で育てたオリーブ。この実りのよろこびを、島内外の多くの方へお届け
したいと心から思います。

収穫の畑の様子はこちらもどうぞ→KABくまもと5ツ星

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