天草諸島とワーケーション。その人生にもたらす効用について。

天草諸島のワーケーションを考えた、前島の夜。

お邪魔したのは、上天草市ワーケーション推進事業の一環で行われた「島サミット 2023」です。宿や飲食といった観光事業に携わる方々や、自治体の方など、およそ40人のリアル参加に加え、オンライン視聴も多数あったという注目のイベントです。

この日のゲストスピーカーのひとりは、大手ディベロッパーを経て、これからの個人や社会に好影響をもたらす住環境・職環境の創造をはじめ、ソーシャルキャピタル醸造家として全国各地に人の輪を広げる「Goldilocks」の川路武さん。

そしてもうひとりは、ポーラ・オルビスグループのリサーチセンターの研究員を経て、「立命館大学先端総合学術研究科」に所属。東京と京都の拠点を行き来しながら、さまざまな「境界」の研究をつづける近藤千尋さん。

贅沢なおふたりに加え、堀江市長や、司会の山下慶子さんとともに繰り広げられたお話は、いわゆる「ワーケーション」や「観光業」だけにとどまらず、都市と地方で生きる人たちの未来を拓くようなものでした。

せっかくなので、いくつかを抜粋してみます。
(画面の掲載は控えているつもりですが、関係者の皆さん、公開NGな点や私が誤っって理解している点があれば、メッセージ等でこっそりご指摘ください🙇‍♀️)

●ホワイトワーカーのうち、「週一以上出社を制限されている人」は外資系で9割、日本の企業で8割近くにのぼる。東京でいえば、約50万人が、週に1度はテレワークをしていると考えられる。週休2日にテレワークの1日を合わせると、3日間、天草諸島に滞在することも可能。


●仕事の質が変わってきている。自ら選んで仕事をしている人は、場所を変えて仕事をすることも厭わない。

●場所が変わると、見えるものが変わる。情報の多い都市部と、ノイズのない風景を行き来することで、情報の収集と咀嚼・熟考のモードをうまく切り替えることができる。

●形式にとらわれすぎず、深い洞察でお客様の求めるものを感じ取り、求めるものを提供できるまちこそが、選ばれる。

●ソーシャルキャピタル(社会的資本)とは、人と人とのつながりや信頼関係でなりたつ、目に見えない資本のことであり、住民同士のネットワークの力は防災や健康寿命などにも好影響をもたらす。また、ワーケーション的な働きかたで、あらたな考え方や価値観に出会うことに意義を感じる人たちが、天草のソーシャルキャピタルを享受できれば、その効用は大きい。

●半分以上青い(視界の大半が海と空な)天草諸島は、従業員のウェルビーイングを考えたい企業や、中長期的な戦略を考えたい経営者や研究者などにうってつけ。

●体験メニューやアクティビティが豊富で、手軽。半日で体感できるものも多く、仕事と遊びの切り替えや組み合わせが容易にできる。

●ワーケーション=仕事+遊び。つまり「生活」。生活のなかに「移動する」という要素が入ったと考え、その受け入れを柔軟に考えることが大切。

●土日は人が集中しがちだが、お客様に平日の新たな価値を創造できる余地は十分にある。ワーケーションという言葉だけに囚われず、人生の時間を過ごす場所として、天草で提供できるものを考え、どのようにウェルカムしていくかを考えることで可能性がひらける。

●国立公園の風景を、暮らしている人も訪れる人も無料で享受できる。それが、天草諸島の最大の魅力である。

「天草諸島の自然と人のもつ懐の大きさは、いろんな人の人生に好影響をもたらす。訪れる人にとっても、迎える人にとっても、とてもポテンシャルのあるエリアである」ということを再認識できた1日。

終了後の懇親会は、リゾラテラス の全席オーシャンビューなレストラン「プレートカフェリゾラ」で。真鯛やシマアジ、車海老、天草大王、リゾラファームをはじめさまざまな作り手さんが育むお野菜などなど、えりすぐりの天草食材を使ったメニューを味わいながら、未来志向の楽しい夜を過ごしました。

テーブルごとにいろんな話題が広がっていましたが。私たちはもっぱら、各々の天草自慢や、第一村人としてどんな天草を伝えよう、みたいなことで盛り上がり。「近々、○○ツアーをしよう」という計画も持ち上がりました。

ちなみにこの日。リアル参加は40名ほどでしたが、YouTube同時配信が行われ、オンライン試聴なさった方もいたそうです。なので、実際はもっと多くの天草諸島の関係者の方々が、一度にこの共通認識をもったということになります。そのことこそが、何よりも大きな意味を持つように感じました。


ご登壇いただいた皆様、そしてご関係者の皆様。
貴重な機会を、本当にありがとうございました。

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