海が悲鳴をあげている

昨日は朝から海岸清掃。天草下島の東海岸で新和町大多尾地区の皆さんの取り組みにご一緒させていただきました。海ゴミ拾いって大抵、歩き回って行うものですが、一ヶ所に集まって座り込んでいる人たちがいました。もちろん、サボっているわけでなく、小さなゴミをひとつひとつ拾い集めようとしている風景です。



豊饒の海とも呼ばれる不知火海。九州本土と天草諸島に囲まれた閉鎖性海域には、森・川・海の恵みを分かちあうたくさんの生命が息づいています。もちろん人間もその一部です。


ですが近年、あちらこちらで生態系のバランスの崩れや海洋汚染の影響が見られるようになりました。写真は昨日の入江のひとこまです。磯の端にある砂地によく目を凝らすと、白い粒々があるのに気づきます。手ですくいあげると、白いものだけ明らかに比重が軽い。そう、この白い粒の正体は、発泡スチロールです。ところどころ、肉や魚のトレイのかけらも見られます。



漁師や海辺に暮らす住民たちは折々に、海洋ゴミの清掃活動を行います。そのなかでこの粒をすべて拾い集めようとするのですが、これがなかなか至難の業😭砂つぶとまじっているものを選り分けて、粒だけ取ろうとするととにかく時間と根気が必要です。昨日も何か対策はないものかと口々に話しながら、すべて集めきることができずに清掃活動が終わってしまいました。




発泡スチロールは元来、鮮魚や肉など保冷と密閉が必要な商品の輸送に用いられたり、養殖筏の浮力を保つために用いられたり、スーパーなど小分けにしたものを並べて売るために用いられるなど、暮らしと営みの便をよくするために開発された資材です。一方で、正しく処理されずに海に漂い、海洋ゴミとなった発泡スチロールは魚が誤って食べたり、船の故障につながることもあるそう。

鮮魚便などで用いられるなど発泡スチロール箱はそれ自体がかさばるため、ゴミ出しで頭を悩ませることも多々あります。事業者から出る発泡スチロールは産業廃棄物として処理されますが、一般家庭から出る発泡スチロールは、「燃えるゴミ」「プラスチック製容器包装」「燃やせないゴミ」など、自治体によっても回収ルールが異なるよう。燃やす、溶かすなどの処理法をネットで見かけることもありますが、有害ガスの発生するリスクもあるため、自治体のルールに沿って処分しましょう。

「つくる責任」
「使う責任」

そしてもうひとつ、消費者や事業者としての、「選ぶ責任」のようなことも考える必要がありそうです。使い捨てではなく、繰り返し使え、最後の処分まで環境負荷の少ないものを通い箱として使うケースも出てきています。みんなで、次代につながるくらしを考えたいものですね。